「会いたいのに、触れたくない夜がある」恋人との距離に戸惑う私の静かな本音

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疲れた女性
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「したくない」という気持ちが、ふと浮かんだ夜に

疲れた女性

夜の九時を少し過ぎたころ、洗濯機の終了音が部屋に響いた。
雨上がりで、窓の外は湿った空気。部屋着のままソファに沈み込み、スマホを眺めていたら、画面に恋人からの短いメッセージが表示された。
「今週、会えそう?」

それだけの一文なのに、胸の奥がほんの一瞬、きゅっと縮む。
会いたくないわけじゃない。話したいこともあるし、顔を見たら安心する気もする。
でも同時に、なぜか頭の中に別の言葉が浮かんだ。
――ああ、また“あの流れ”を考えなきゃいけないのかもしれない。

私はスマホを伏せて、洗濯物を取り出しながら、わざと考えないようにしていた。
誰にも言ってこなかったけれど、「セックスしたくない」という感情が、自分の中にあることを、最近やっとはっきり自覚するようになったから。

「嫌い」じゃないのに、体が前に出ない

「セックスが嫌いなわけじゃないんです」
恋愛相談の場で、そう前置きする女性の話を、これまで何度か聞いたことがある。
正直、少し前の私は「それってただ疲れてるだけじゃない?」とか、「相手の問題なんじゃ?」なんて、どこか他人事として受け取っていた。

でも今ならわかる。
嫌悪感とはちょっと違う、もっと曖昧で説明しにくい感情。
好きだし、信頼しているし、触れられて不快なわけでもない。
それなのに、「したい」と思えない。

頭では「恋人同士なら自然なこと」「求められるのは悪くないこと」と理解しているのに、心と体が同じ方向を向かない。
それが続くと、だんだん“拒否している自分”を責める気持ちが湧いてくる。

私の場合、その原因は「性欲がない」でも「相手が合わない」でもなくて、もっと別のところにあった。

「応えなきゃ」というスイッチが入る瞬間

洗濯物を干し終えて、キッチンで白湯を飲みながら、ふと思い返した。
恋人と会う前日、どんな気持ちでいるかを。

楽しみ半分、緊張半分。
その緊張の正体は、「期待に応えられるかな」という感情だった。

相手が何かを強要してきたことはない。
むしろ、気遣ってくれるし、優しい。
それなのに、私の中では勝手に“役割”が立ち上がってしまう。

恋人なんだから
大人なんだから
拒むのは失礼なんじゃないか
期待を裏切ることになるんじゃないか

そんな言葉が、頭の中を静かに回り始める。
その瞬間、セックスは「したいかどうか」ではなく、「応えられるかどうか」の話にすり替わる。

そして私は、その“評価される場”に立つ感覚が、ひどく苦手だった。

心と体がずれる感覚に、名前をつけられなかった

正直に言うと、行為そのものよりも、その前後の空気がつらいと感じることが多い。
終わったあと、どこかホッとする自分。
それに気づくたび、「あ、今の私は楽しんでたわけじゃないんだ」と、静かに落ち込む。

でも、この感覚をどう説明したらいいのかわからなかった。
「疲れてるから」
「今日はそんな気分じゃなくて」
そう言って流してきたけれど、本当はそれだけじゃない。

自分の体なのに、自分の欲求がわからない。
あるいは、わかっているのに、それを出すのが怖い。

この“ズレ”は、誰かに指摘されたわけでも、トラウマがあるわけでもない。
ただ、積み重なった小さな遠慮や、空気を読む癖が、いつの間にか心と体の間に薄い膜を作ってしまったような感じだった。

わかる…と感じてほしい一文

「好きなのに、したくない自分を、どう扱っていいかわからない夜ってあるよね」

この一文を、もし誰かが口にしてくれたら、たぶん私は少し救われただろう。
問題は“性欲の有無”じゃなくて、「自分の気持ちを後回しにする癖」にある場合も多いのに、その話題はなかなか表に出てこない。

今日、少しだけ変わったこと

悲しむ女性

白湯を飲み終えて、私はようやくスマホを手に取った。
返事はすぐに打てなかったけれど、今回は「会えそうだよ」だけで終わらせずに、正直な一言を添えた。

「最近ちょっと疲れてて、ゆっくり話すだけの日がいいかも」

送信ボタンを押したあと、心臓が少し早くなった。
でも、不思議と後悔はなかった。

相手の反応がどうであれ、「自分の状態をそのまま出した」という事実が、私の中で小さな変化だった。

「したくない」は、拒絶じゃない

セックスをしたくないと感じる瞬間は、相手を否定しているわけでも、愛が冷めた証拠でもない。
それはただ、「今の自分は、そこにエネルギーを割けない」というサインの場合もある。

それを無理に押し込めて、演じ続けるほうが、よほど関係をすり減らすこともある。

私はまだ答えを出せていないし、これからも揺れると思う。
でも、「したくない」と思う自分を、すぐに問題視しないでいられたら、それだけで少し楽になる気がしている。

余韻としての問い

もし今、同じような気持ちを抱えているなら、
その違和感は、あなたに何を伝えようとしているんだろう。

答えを急がなくてもいい。
ただ、その声を無視しない夜が、きっと次につながっていく。

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