ちゃんと伝えられない私が、GODIVAハートオブゴールドを手に取った理由

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チョコレート
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気持ちを言葉にできない日に選んだ、GODIVAハートオブゴールドという逃げ道

チョコレートを食べる女性

今朝の空は、冬のくせにやけに白くて、ベランダに出たら息が少し甘い匂いに感じた。マグカップの底に残ったコーヒーがぬるくなるまで、スマホの通知を眺めているだけで、もう一日が半分くらい終わった気がして、ひとり暮らしって自由だけど、自由すぎて自分の雑さが全部自分に跳ね返ってくる。

今日の記事の主役は「GODIVA ハート オブ ゴールド コレクション」。あの、光を抱えたみたいなゴールドの箱に、リボンが結ばれていて、ほどいた瞬間に“ちゃんとした気持ち”が出てきそうなやつ。公式では「A Heart of Gold ― まごころを込めて。」と紹介されていて、香ばしいプラリネや、くちどけのいいガナッシュなどが詰め合わされているらしい。ゴールドのパッケージにグリッターの光沢を乗せて、プレミアム感と品のあるモダンさを出している、って説明がいちいち丁寧で、読んでいるだけで背筋が伸びる。

でもね、今日の私は「まごころ」より先に、ちょっとずるい気持ちのほうを抱えていた。


今日の小さな出来事:退職する先輩へ、“無難”を買いに走った

昼休み、職場のチャットに「来週で退職します。短い間でしたがありがとうございました」と先輩からメッセージが流れてきた。スタンプが連なって、みんなの“いい人モード”が一斉に起動するあの感じ。私はというと、返信の文を打っては消して、結局「お疲れさまでした!」の一言だけ送って、すぐ画面を閉じた。

本当は、もっと言いたいことがあった。忙しい日、私がミスして落ち込んでいた時に、先輩が「今日は帰りにコンビニで好きなの買って帰りな。明日やり直せばいい」って笑ってくれたこと。あれ、今でも思い出す。だけど、文章にしようとすると急に照れくさくなるし、重くなる気もするし、何より“距離感の正解”がわからなくて怖い。

だから私は、仕事が終わったあと駅ビルの売り場へ寄った。混んでいるのに、ショーケースの前だけ空気が静かで、チョコレートの照明がやけにきれいで、現実から少しだけ切り離された場所みたいだった。そこで目に入ったのが、GODIVAの「ハート オブ ゴールド コレクション」。サイズは6粒入から9粒入、15粒入、24粒入、30粒入までラインナップがあって、用途に合わせて“気持ちの量”を選べるのが怖いくらい上手い。

私は迷った末に、真ん中の15粒入のイメージで考えた。理由は本当に浅くて、「大げさすぎないけど、安っぽく見えない」ライン。こういう時の私は、いつも“ちょうどよさ”で自分を守る。

ちなみに中身は、ゴディバの伝統的なプラリネをモダナイズした「1粒のヘーゼルナッツ」や、ルビーチョコレートとダークチョコレートムースの組み合わせでカカオの多様性を表現した「シュープリーズ」、そしてゴディバ1号店を記念して作られたハート形の「クール」などを詰め合わせている、と紹介されていた。歴史と今っぽさを同じ箱に入れて、しかも“ちゃんとおいしい”でまとめてくるの、ずるい。

誰にも言わなかった本音:私は「気持ち」をモノに丸投げして、楽になりたかった

レジに並びながら、私の頭の中にはずっと、先輩への言葉じゃなくて“包装の強さ”が浮かんでいた。ゴールドの箱なら、私の気まずさも一緒に包んでくれる気がした。リボンをほどく所作が、私の不器用さをうまく誤魔化してくれる気がした。

たぶん私は、感謝を伝えることが苦手なんじゃなくて、感謝を伝えた時に返ってくるものが怖い。返事が重かったらどうしよう、軽く流されたらどうしよう、相手が泣いたらどうしよう、私はどう顔をすればいいんだろう。そういう“その先”を想像して、結局、箱の中に気持ちごと押し込めたくなる。

わかる…って言ってくれる人、きっといると思う。言葉にすると大げさになるから、物に頼ってしまう夜がある。

それに、現実的な話をすると、私は最近「ちゃんとした人」に見られたい欲が強い。仕事も、将来も、人間関係も、自分磨きも、全部どこかで“評価される前提”で動いてしまう。だからギフトも、相手のためというより、自分の点数を守るための選択になっている時がある。そう思った瞬間、手の中の紙袋が急に重くなった。

とはいえ、GODIVAの情報を読むと、物としての完成度は本当に高い。原産国はベルギーで、賞味期限は「1ヶ月以上のものを送る」と明記されている。保存は高温多湿を避けて15~18℃が適温、とか、こういう“ちゃんとしてる説明”は、受け取る側の不安を減らしてくれる。
(ちなみに原材料には小麦・乳成分・アーモンド・大豆などが含まれるので、贈る相手にアレルギーがある場合は注意が必要。ここだけは、私みたいに勢いで買う人ほど、ちゃんと見たほうがいい。)


今日だけの小さな気づき:渡す前に、短い「言葉」を一個だけ足してみる

チョコレート

家に帰って、コートを脱ぎながら、私はその紙袋をテーブルに置いた。ひとりの部屋にゴールドの箱があるだけで、ちょっとだけ“余所行き”になるのが不思議。だけど私は、まだ渡していないのに、もう一度逃げようとしていた。「これを渡せば十分」って、勝手に完了ボタンを押そうとしていた。

そこで、ひとつだけルールを決めた。明日、先輩に渡す時に、チョコの説明はしない。かわいいですね、も言わない。代わりに、短い言葉を一個だけ足す。長い文章は無理だから、単語一個でもいい。

たとえば、「あの日、助かりました」。
それだけでいい。たぶん。

“気持ちをモノに丸投げする”のを、ゼロにはできない。私は不器用だし、今も正解がわからない。でも、丸投げの割合を、ほんの少しだけ減らすことならできる。箱の中身がどれだけ美しくても、リボンをほどく動作がどれだけ完璧でも、言葉が一粒も入っていないと、やっぱりどこか空っぽになる気がした。

ゴディバの「ハート オブ ゴールド」は、伝統と革新を一箱に詰めた、と書いてあった。
だったら私も、いつもの“無難”と、少しだけの“本音”を、同じ一日に詰めてみたい。きれいにできなくても、たぶんそれが私の等身大。

明日、先輩が笑ってくれるかはわからない。私の言葉が変に響くかもしれないし、さらっと流されるかもしれない。でも、その不確かさごと抱えて渡すのが、たぶん「まごころ」ってやつの入口なんだと思う。

あなたは最近、誰かに何かを渡す時、言葉を添えるのが怖くなったこと、ありませんか。
そしてもしあるなら、その怖さを、どんなふうに隠してきましたか。

売り場でパンフレットを眺めていると、15粒入の中には具体的に「1粒のヘーゼルナッツ」が2粒入っていたり、カカオ分85%のダークガナッシュを包んだ「トルビヨン 85」、伝統のヘーゼルナッツプラリネの「トルビヨン プラリネ」、ルビーで包んだ「シュープリーズ」、ローストしたアーモンドをアーモンドペーストで包む「アモンド マルキーズ」などが並ぶと書いてあって、名前がもう、ちょっとした小説みたいだった。
私は甘党のくせに、こういう“説明が美しい甘さ”に弱い。味そのものより先に、物語に課金してしまうタイプ。

ただ、値札を見ると現実もちゃんと殴ってくる。家賃と電気代と、今月の外食の回数が頭の隅で点滅して、ここで背伸びしたら来週のスーパーがしんどくなる、って自分にツッコミを入れてしまう。だけど、それでも買ってしまったのは、先輩への気持ちというより、「この人はちゃんと感謝を形にできる人です」って自分の名札を一時的に貼りたかったからかもしれない。そういうところが、ほんと、可愛くない。

それと同時に、ゴールドの箱が与えてくれる“安心”も確かにあった。ちゃんとしたブランド、ちゃんとした説明、ちゃんとした箱。迷いながら生きている私にとって、「ちゃんと」が視覚化されたものって、すごく頼りになる。ゴディバは保存温度の目安まで書いていて、サイズも粒数ごとに細かく違う。たとえば30粒入は縦228×横273×高さ31.5mmで、576gだそうで、これはもう“ほぼ書類箱”。
こういう情報があると、贈る側は「失礼じゃないかな」「小さすぎないかな」といった不安を減らせるし、受け取る側も「急いで食べなきゃ」って焦らずに済む。商品ページの丁寧さって、意外と人を救う。

……でもね。丁寧さに救われながら、私はまた別の丁寧さから逃げていた。

先輩は、たぶん私が思うほど、私に“正解の感謝”なんて求めていない。そんなのわかってる。わかってるのに、私は「何も言わずに渡して、雰囲気でいい感じに終わらせたい」というズルさを手放せない。人間関係の中で一番疲れるのって、相手じゃなくて、自分の頭の中のシミュレーションだったりする。

帰宅してから、箱を開けて確認するわけにもいかず(それはそれで最低だし)、私は紙袋の上からそっと撫でてみた。リボンの結び目が少し硬くて、ほどく時に指がもたつきそうで、それが今の私の言葉みたいだった。すっとほどけない、でも絡まりすぎてもいない、あの感じ。

それで、私はメモアプリを開いて、明日言う言葉を“練習”した。誰にも見られない部屋で、たった一言を練習する30歳、情けないようで、ちょっと愛おしい。
「助かりました」
「救われました」
「本当に、ありがとうございました」
候補を並べるたびに、どれも自分の口から出すと嘘っぽくなりそうで、また消したくなる。こういう時、私は文章を書いているくせに、現実の言葉が一番下手だ。

でも、ここでやめたら、いつも通りだ。
いつも通り、上手に避けて、上手に終わらせて、あとでひとりで反省して、次の誰かにも同じことをする。

だから最後に、最短の文にした。主語も飾りも抜いて、温度だけ残す。
「昨日、あの言葉に助けられました」

これなら、ちょっとだけ本当っぽい。
そして、言ってしまえば、あとは先輩の反応に委ねればいい。委ねるのは怖いけど、委ねないと関係は一生、動かない。

ゴールドの箱って、光が強いぶん、影もくっきり出る。今日の私は、その影の形を見た日だった。
“ちゃんとした贈り物”で自分を守ろうとする私と、ほんの一言でも自分の温度を渡してみたい私。どっちも私で、どっちかを消す必要はないけど、せめて同じ箱に入れて持っていけたらいいなと思った。

そして、もし明日うまく言えなくても、帰り道にまたこの箱の説明を読み返してしまう気がする。
「まごころを込めて」って言葉に、私はたぶん、何度も助けられる。


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