人との距離が近い朝、なぜか息が気になる私が洗面台で選んだ“安心感のある歯みがき習慣”

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白い歯の女性
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「近い距離」がしんどい日に、歯みがき粉の箱だけがやけに頼もしく見えた

白い歯の女性

今朝の空気は、冬らしく乾いていて、窓を少し開けただけで部屋の奥まで冷えが滑り込んできた。
一人暮らしのキッチンは、いつも通り静かで、電気ケトルの「カチッ」という音だけが生活の合図みたいに鳴って、私はマグカップを両手で包みながら、今日の予定をぼんやり思い出していた。


“ちゃんとしたい日”って、気合いを入れるほど空回りすることがあるのに、そういう日に限って、遅延気味の電車とか、急に距離が縮まる会話とか、逃げ道のない場面がセットでやってくる。

鏡の前で髪を整えるのも、服を選ぶのも、別に特別じゃない。


ただ、今日の私はなぜか「息」のことがずっと気になっていて、口をゆすいでも、マスクをつけても、気持ちの奥で小さな不安が居座ったままだった。


たぶん原因は、寝不足とか、昨日の夜のコンビニの甘いラテとか、そういう“ちいさな積み重ね”なのに、私の脳内ではすでに「人に嫌われる要素」みたいに拡大されていて、こういうところが自分で自分を面倒くさくしてるな、と思う。

洗面台の棚から、いつもの歯みがき粉を出す。


白いパッケージの「WHITH WHITE」。日本製で、医薬部外品の薬用タイプで、歯周病ケアとか口臭防止とか、フッ素やキシリトールまで、いろいろ“抜け目なく”書かれているあれ。
正直、私は歯みがき粉にドラマなんて求めていなかったのに、今朝はその箱が、やけに頼もしく見えた。

① ぎゅっと近づかれたエレベーターの数十秒が、妙に長かった

出勤前、ゴミ出しをしようとエレベーターに乗った。
ごく普通のマンションの、いつも通りの朝。だけど扉が閉まる直前、同じ階の人が駆け込んできて、思ったより距離が近くなった。


「すみません」と言われて、私も反射的に「いえいえ」と返して、それで終わるはずの数十秒だったのに、私はその瞬間、急に息の置き場所がわからなくなった。

狭い箱の中で、視線をどこに置けばいいのか迷うあの感じ。
壁の案内表示を見ているふりをするか、床の数字を眺めるか、スマホを開いて“忙しい人”の顔を作るか。
なのに、今日の私はそのどれよりも先に、「いま、私の息、大丈夫かな」という考えが浮かんでしまった。

本当にそういう時って、自分の感覚が信用できなくなる。
息なんて見えないのに、気になると“ある”気がしてくるし、気にしない日に限って何も起きない。
そして私は、相手の表情がほんの少し動いた気がしただけで、「あ、やっぱり…」と勝手に結論を作ってしまう。


そういう早とちりを、私は誰にも言わない。言えない。言った瞬間、世界がもっと恥ずかしくなるから。

② 誰にも言わなかった本音は、「嫌われたくない」じゃなくて「迷惑をかけたくない」だった

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エレベーターを降りて、外の冷たい空気を吸った瞬間、少しだけホッとした。
だけど同時に、胸の中にひとつ、小さくて不格好な本音が残った。

「嫌われたくない」じゃない。
もっと情けないことに、「迷惑をかけたくない」だった。

嫌われるのは怖い。けどそれより、相手が“何も言わずに我慢する状況”を作ってしまうのが怖い。
たとえば、息の匂い。たとえば、身だしなみ。たとえば、なんとなくの不快感。
人って優しいから、よほどのことがなければ言わないし、言わない優しさは、たぶん私もよく使っている。
でも、言われないからこそ、残酷に想像が膨らむ。

「ちゃんとしてるつもりだったのに、足りてなかったらどうしよう」
「毎日歯みがきしてるのに、それでも人に気を遣わせたらどうしよう」
そう考えた瞬間、私は自分の生活が、急に心もとないものに見えてしまった。

たぶん、ここが今日の核心だった。
私は“清潔感”を自分のために整えているつもりで、実は「誰かに負担をかけないため」に整えていて、それが思った以上に私の神経を削っていた。


こういうのって、外からは見えないし、説明もしにくいし、だから余計に孤独になる。
……わかる、って思う人、きっといるよね。
「別に誰にも何も言われてないのに、勝手に不安になって、勝手に疲れてる日」って、ある。

③ “ちゃんとする”の方向を、少しだけ変えたら楽になった気がした

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そのまま出勤して、仕事をして、昼休みにコンビニへ行った。
いつもならコーヒーを買うところを、今日はなんとなく避けた。
「気にしすぎ」と言われたらそれまでなんだけど、気になってしまったものは、いったん自分の中で“事実”みたいな顔をする。


だから私は、代わりに温かいお茶を手に取った。たぶん、誰に言われたわけでもない防衛反応。

午後、会議がひとつあって、席が近い打ち合わせもあった。
私の緊張は、完全には消えていなかったけど、朝のエレベーターほどの焦りはなかった。
その違いは何だろう、と考えて、帰り道にようやく気づいた。

私は今日、「白くなりたい」とか「綺麗に見られたい」とか、そういう“理想の自分”のために歯みがき粉を使ったわけじゃない。
それよりも、「今日をなるべく波風立てずに通過したい」という、すごく現実的で、ちょっと弱い目的のために、WHITH WHITEの“薬用”という言葉に寄りかかったんだと思う。


6個セットでストックがあるのも、地味に助かる。
「切れそう」「買い忘れた」みたいな小さな焦りがないだけで、生活の安心感が増える。
歯周病ケアとか口臭防止とかフッ素とかキシリトールとか、全部を完璧に理解して使ってるわけじゃないのに、箱に書いてある“守ってくれそうな要素”が、今日の私の心を支えてくれた。

ただ、ここでちょっとだけ違和感も残った。
結局私は、“自分が安心するために”何かを選んでいるはずなのに、その安心の根っこが「他人への迷惑」だったこと。
誰かと近い距離になることを、いつの間にか「試験」みたいに感じてしまっていたこと。
そのことに気づいた瞬間、私は自分の繊細さに少し呆れつつも、同時に「そういう生活、ずっと続けたら疲れるよね」とも思った。

だから今日の小さな変化は、劇的な自己改革じゃなくて、もっと地味な方向。
“ちゃんとする”の目的を、「誰かに嫌がられないため」から、「自分の不安を小さくするため」に、ほんの少しだけ戻してみた。


息が不安な日は、歯みがきを丁寧にする。
口の中が乾きやすい日は、お茶を選ぶ。


それでも不安が消えないなら、「今の私は、距離が近いのが苦手な日なんだ」と認めて、呼吸を浅くしないようにする。
それくらいでいい。というか、それくらいしかできない日もある。

帰宅して、コートを脱いで、部屋の暖房をつけた。


洗面台の前で、もう一度歯みがきをして、泡を吐き出したあと、鏡の自分を見た。
歯がどうとか、息がどうとか、そういう“点数”は正直わからない。


でも、朝よりほんの少しだけ、肩の力が抜けていた。

誰にも迷惑をかけたくない、って思うのは優しさなのかもしれない。
でもそれが自分を追い詰めるなら、たぶんそれは、優しさの使い方がちょっとだけ不器用なんだと思う。

今日みたいに、距離が近いだけで急に心がザワつく日、あなたにもある?
そのザワつきに名前をつけるなら、あなたはどんな言葉を選ぶだろう。


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