朝のコーヒーが効かない理由は私のせいじゃなかった、カフェインの時間差の話

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コーヒーを飲む女性
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カフェインが効くまでの時間は?――雪の朝、体の“タイムラグ”に置いていかれそうになった話

コーヒーを飲む女性

今朝の空気は、冷蔵庫の中みたいに硬かった。駅までの道のりで鼻の奥がツンとして、息を吸うたびに「冬って、体の内側から静かに怒ってる」と思うやつ。ニュースでは、今季最長クラスの寒波で日本海側を中心に大雪が続き、交通への影響に警戒…みたいな話が流れていて、たぶん今日の私はその“影響”の末端にいる、ただの一人暮らし会社員(たぶん顔はぼんやり)だった。

家を出る前、私はいつもの儀式みたいにマグを温めて、コーヒーを淹れた。香りだけで少し持ち直すから、私のメンタルはだいぶ単純だと思う。なのに、今日はそのコーヒーが、まったく助けに来てくれなかった。

玄関を出た瞬間に、歩道の端に寄った雪がバリッと割れて、靴底がすべった。転びはしなかったけど、変なところに力が入って、肩が上がる。バス停に着くと、遅延のお知らせ。寒さで指がかじかんで、スマホの画面をうまくスクロールできない。こういうとき、私はなぜか“急にちゃんとした人”になろうとしてしまう。遅れないように、焦らないように、コーヒー飲んだから大丈夫…みたいに。

でも、全然、大丈夫じゃない。

小さな出来事としては、ただそれだけ。バスが遅れて、駅に着いたら電車も混んでいて、上着の内側に湿った熱がこもって、私の体温だけがやたら真面目に仕事をしていた。問題は、そのあと。

コーヒーを飲んだのに、頭が起きてこない。目は開いてるのに、思考だけが布団の中に置き忘れられている感じ。メールの文章を読み返しても意味が入ってこないし、エスカレーターの右側に立ってしまって小さく謝るし、駅のホームで「私は今日、社会に向いてない」って思ってしまった。

誰にも言わなかった本音はこれ。
「カフェイン、早く効いて。今すぐ。私を“仕事モード”にして」

…いや、他力本願すぎる。自分の脳に、外注してる。

でも、たぶん同じこと思ったことある人、いる。寝不足の日とか、寒い朝とか、気持ちが追いつかない日とか。「なんで私は、スイッチひとつで切り替わらないんだろう」って、ちょっとだけ自分に腹が立つやつ。わかる…。

ここでふと思ったのが、そもそも「カフェインが効くまで」って、どれくらいなんだろう、ということだった。私はいつも、“飲んだらすぐ効く”前提で人生を回しているけど、体はそんなに都合よく動かない。むしろ、体のほうが正しい時間を生きているのかもしれない。

①「効いてきたかも」はいつ?――体の中のタイムライン

一般に、カフェインは摂取後わりと早く吸収され、血中の濃度が最大になるのは「摂取後30分~2時間くらい」と言われている。 つまり、私がマグを飲み干してすぐに“シャキーン”となるのは、そもそも無理ゲーだった可能性が高い。

もう少し細かく見ると、米FDAの資料では、カフェインの血中濃度は摂取後30~60分ほどでピークに達すると書かれている。 体感として「効き始めたかも」と感じるのは、その少し前後、だいたい15~45分くらい、という説明もよく見かける。

つまり、私の今朝の失敗は、コーヒーのせいじゃなくて、私の“待てなさ”のせいだった。せっかちで、タイムラグを許せない。便利な通知に慣れすぎた脳が、「摂取→即効」という、わがままな期待をしていた。

②効き方が人によって違う理由――朝ごはん、体質、そして“慣れ”

カフェインが効くまでの時間は、けっこう個人差がある。国立精神・神経医療研究センターのコラムでも、ピークに達する時間が「摂取後30分~2時間」と幅があること、半減期(効果が半分になる時間)も「2~8時間」と幅があることが触れられている。

たとえば、
・空腹で飲むのか、食後に飲むのか
・普段から毎日飲んでいて耐性があるのか
・睡眠不足、ストレス、体調(風邪気味とか)
・体質(代謝のスピード)

こういう条件で、同じ一杯でも“効き方”はけっこう変わるらしい。私は冬になると朝ごはんが雑になりがちで(パンをかじって終わりとか、最悪バナナだけとか)、その日のコンディションがブレやすい。だからこそ、「昨日と同じコーヒーなのに、今日は効かない」という現象が起きる。

そしてもうひとつ、地味に大きいのが“慣れ”だと思う。カフェインは、眠気に関わるアデノシンの受容体をブロックして眠気を感じにくくする、という仕組みが知られている。 けれど、毎日それをやっていると、体もだんだん学習してしまう。効かなくなるというより、「いつもの程度」に落ち着く。私の“シャキーン信仰”が成立しにくくなる。

③「いつまで残る?」――午後の私を地味に壊すもの

冬の女性

ここが今日、いちばん刺さった。カフェインって、効くまでに時間がかかるくせに、抜けるのは遅い。

同じくNCNPのコラムでは、半減期が2~8時間とされていて、つまり人によっては夕方まで余裕で残る。 夕方の会議で妙にソワソワしたり、夜ベッドに入ってから目だけ冴えてしまったりするのは、私の意思が弱いというより、体の中に“午後のコーヒー”がまだ居座っているだけの可能性がある。

今朝の私は「早く効いて」と思っていたけど、本当は逆で、効き始めをちゃんと待って、午後以降の自分を守るように飲むべきなのかもしれない。そう思うと、コーヒーって、元気の前借りじゃなくて、時間の調整剤みたいだ。

ここで、今日の小さな気づきが出てくる。

私はずっと「気合い」か「習慣」か「自己管理」みたいな言葉で、自分を早起きさせたり、働かせたりしてきた。でも、体は“時間”で動いている。効くまでの30分、あるいは1時間を、私はいつも無視していた。だから、効かないと焦って、二杯目に手を伸ばして、午後に眠れなくなる。完全に、因果応報。

それって、仕事や人間関係でも、似たことをしている気がする。LINEを送ったらすぐ返事が欲しい、気まずい空気はすぐ解消したい、結果は早く出てほしい。タイムラグのあるものを、私は苦手にしている。

昼前、デスクで「もう一杯いくか…」と手が動きそうになったとき、私はいったん止まった。効くまでの時間を待てない人間が、二杯目を飲むのを我慢するなんて、ほぼ修行。でも、ここで増やしたら、夜の私が困るのは目に見えている。

代わりにやった“ささやかな変化”は、たったこれだけ。
二杯目を買うのをやめて、駅の売店で温かい麦茶を買った。

麦茶って、カフェインゼロで、いかにも“地味”。でも、指先がほどけるみたいに温かくて、胃のあたりが少し落ち着いた。コーヒーが効くのを待つ間の、空白を埋める飲み物として、すごくちょうどよかった。私はいつも「効く/効かない」だけで自分を評価してたけど、効く前の時間にも居場所を作っていいのかもしれない、って思えた。

それでも午後、どうしても眠気が落ちてくる時間ってある。あの、13時台の「世界が少しだけスローモーションになる」感じ。今日は寒さもあって、まぶたが重くて、画面の文字が“読めるけど入ってこない”。そこで私は、ずっと気になっていた「コーヒーナップ(コーヒーを飲んでから短い仮眠)」を、こっそり試してみた。

カフェインは血中濃度がピークに向かうまで少し時間がかかるから、その“待ち時間”に15~20分くらいの短い仮眠を挟むと、目覚めるころに効き始めやすい、という考え方らしい。 休憩室の椅子に深く座って、コーヒーを数口だけ飲んで、タイマーを20分にして目を閉じた。正直、寝る気はなかった。寝たら負け、みたいな変なプライドがあった。

でも、うとうとした。ほんの数分、意識が遠くなった。目が覚めたとき、派手な覚醒ではないけれど、「あ、戻ってきた」と思えた。さっきまでの焦りが少し薄くなって、呼吸が深くなって、仕事の画面が“敵”じゃなくなった。コーヒーが効いたのか、仮眠が効いたのか、両方なのかは分からない。でも、“効くまで待つ”のって、こういうことかもしれないと思った。

もちろん、毎日これをやるのは無理だし、眠れない体質の人には合わないかもしれない。私はただ、待てなかった自分が、今日は少しだけ待てたのが嬉しかった。

夕方になって、朝の私がいちばん欲しかった集中力は、やっぱり遅れて届いた。皮肉なことに、午前中の私が欲しかった集中力は、昼過ぎにやってきて、逆に夜の私は「眠くなれないかも」と心配し始める。ほんと、人生って配達時間を守らない。

でも、今日は少しだけ違った。午後の私は、午前の私に怒らなかった。「遅れて届いた集中力」を、ちゃんと受け取った。そして夜の私は、いつもより早くコーヒーを切り上げた。

完璧な調整なんてできないけど、体のタイムラグを“敵”にしない日が、たまにあってもいい。

寒波のニュースを見ながら、私はマグを洗って、窓の外の白っぽい空を眺めた。 明日もきっと寒いし、私のスイッチはたぶん今日も遅い。でも、遅いなら遅いなりに、待てる私でいたい。

もし今日、コーヒーを飲んでも効かない朝があったら、それはあなたがダメなんじゃなくて、ただ体が“いつもの速度”で動いているだけかもしれない、と私も思い出すようにしたい。

あなたは、カフェインが効くまでの“待ち時間”を、どう過ごしてる?

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