高い美容液より睡眠が効く(たぶん、いちばん地味でいちばん確実)

昨日の夜、ベッドに入ったのに、なぜか「今日の自分の出来」に採点をつけたくなってしまって、スマホの画面を親指で上へ上へと送っていました。部屋の明かりは暖色にしたのに、手元だけ小さく青白くて、まるで自分の焦りが光っているみたいで、ちょっと笑えない。
しかも今朝の私は、ほんの少しだけ“いい女っぽい”何かを買ってしまった直後で、その反動みたいに「ちゃんとしてる私」を証明したかったのかもしれません。
今日の小さな出来事は、それに気づくきっかけになった、たった一通のメッセージでした。
(ここから今日の話を、朝→昼→夜の順じゃなくて、私の頭の中みたいに行ったり来たりしながら書きます。眠い日に限って、思考って時系列を守ってくれないから。)
1)「今日は寝たい」って言えなかった、あの一文
昼休み、同僚から「今夜、軽くごはん行く?」ってLINEが来ました。悪い人じゃないし、むしろ話してると楽しい。でも私はその瞬間、胃じゃなくてまぶたが反応したんです。
“行きたい”より先に、“寝たい”が出てきた。
それなのに、私はすぐに「いいね!」って返しそうになってしまった。反射で。条件反射で。社会人の正しい返事として。
誰にも言わなかった本音はこれです。
「断ったら、私の価値が少し下がる気がした」
たった一回の食事を断るだけで?って自分でも思う。けど、思っちゃったんだから仕方ない。
一人暮らしって、自由なはずなのに、自由の使い方が下手になる時がある。誰にも縛られてないのに、勝手に自分で“ノリのいい私”を演じて、勝手に疲れている。
その時ふと、最近の自分の“表情”が固いことを思い出しました。鏡の前の顔じゃなくて、人と話してる時の、あの無駄に愛想のいい笑い。
寝不足の笑顔って、たぶん薄い。コーヒーで引き上げたテンションの上に、無理やり乗せた感じがする。
そして薄い笑顔のまま帰宅して、玄関で靴を脱ぐ瞬間に、どっと疲れが来る。部屋が静かなぶん、自分の疲れだけがやけに音を立てる。
ここで今日の主役の違和感が出てきました。
睡眠って、体調を整えるだけじゃなくて、「断る力」とか「ちょうどいい距離感」を返してくれるんじゃないか、っていう違和感。
「寝たい」を言えない私は、たぶん“体力”だけじゃなく“境界線”も削れている。
2)“高い何か”より先に、7時間を確保できる人が強い

私はたまに、財布の中身より先に、生活の中身を見失います。
「これがあれば整う」みたいなものを買って、安心して、でも結局夜更かしして、翌日しんどい。
高い美容液って、なんというか、希望の形がわかりやすいじゃないですか。ボトルがあって、値札があって、「私は自分に投資した」って実感できる。
睡眠はそれがない。買った感がない。成果が“地味”。だから後回しにされる。
でも、睡眠の効き目って、地味どころか、わりと露骨です。
たとえば大人の推奨睡眠時間は、一般に7時間以上が目安とされています(年齢によって幅はあるけど)。CDCも成人は「7時間以上」を推奨しています。
日本の厚労省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」でも、睡眠には個人差がある前提を置きつつ、成人の適正睡眠時間の考え方に触れています。
「時間」だけじゃなく「質」も大事で、途中で何度も目が覚めるような睡眠は休養感が落ちる、という考え方もあります。
ここで私が思ったのは、「睡眠って健康の話」だけじゃなくて、生活の“判断”の精度に直結してるってこと。
睡眠不足は気分や認知(集中とか処理速度とか)を落とすだけじゃなく、炎症やストレス反応にも影響しうる、という研究もあります。
つまり、寝不足の私は、単に眠いだけじゃなくて、判断が荒くなる。
荒くなると、優先順位が乱れる。乱れると、「大事にしたいもの」を雑に扱う。
そして雑に扱ったあとで、なぜか自分を責める。……この流れ、私だけじゃないはず。
**「寝不足の日って、優しい返事ができない」**って、わかる人、いると思う。
それに、睡眠が足りない日は、自分の感情を“処理”する余白がなくなる気がします。
一言に過剰反応したり、逆に何も感じないふりをしてしまったり。
たぶん私は、眠ることで感情を整えているんじゃなくて、感情を“置いておける棚”を増やしているのかもしれない。
棚がないと、全部床に散らばる。散らばった感情に足を取られて、また余計に疲れる。ああ、私の部屋の床みたい。
3)夜のスマホは、私の“現実逃避”の入口だった
話を、昨夜に戻します。
私は寝る前にスマホを見るのをやめたいと、何度も思って、何度も負けています。
ブルーライトがどうこう、という話はもう聞き飽きてるのに、それでも見ちゃう。
Harvard Healthでも、夜の光(特に青い光)はメラトニン分泌の抑制が強く、体内時計をずらしやすい、という説明があります。
理屈は知ってる。なのに見ちゃう。だからこれは、知識の問題じゃなくて、感情の問題なんですよね。
私にとって夜のスクロールは、情報収集じゃなくて、「今日の私を無かったことにする儀式」みたいになっていました。
うまくいかなかった会話。言えなかった一言。残ったタスク。
それらを直視したくなくて、誰かの生活、誰かの正解、誰かの成功を浴びて、頭を散らして、眠くなるまで自分を薄める。
そして翌朝、薄まった自分のまま起きる。
薄いまま仕事して、薄いまま返事して、薄いまま人に会って、夜また薄める。
……冷静に書くと、地味にしんどいループです。
今日気づいた「ささやかな変化」は、ここから生まれました。
私は寝不足を「忙しいから仕方ない」と思っていたけど、実は忙しさの正体が“逃避の時間”に溶けていたかもしれない、っていう気づき。
逃避って、悪者扱いされがちだけど、私の場合は「今日を生き延びるための応急処置」でもあった。だから、いきなりゼロにするのは難しい。
だけど、応急処置ばかり続けると、治るものも治らない。寝不足のまま次の日へ引きずって、また応急処置して、の無限ループになる。
だから今日は、ほんの一手だけ変えてみました。
夕方のLINEに返信するとき、私は一回だけ深呼吸して、指を止めました。
そして「今日ちょっと寝不足で、今夜は早く寝たいかも。来週なら行ける?」と打ちました。
送信ボタンを押す直前、胸がちょっとだけヒリッとした。
断ることより、「理由が睡眠」って言うのが恥ずかしかったんです。子どもみたいで。根性がないみたいで。
でも送った。
返ってきたのは、拍子抜けするくらい普通の返事でした。
「了解!無理しないで。来週ね」
……え、それだけ?って、思った。
私が勝手に作ってた“評価の天秤”は、相手の手元には最初から置かれてなかった。
この瞬間、私の中でちょっとだけ世界が静かになりました。
睡眠って、体力の回復だけじゃなくて、人間関係のノイズを減らすのかもしれない。
「ちゃんとしなきゃ」を少しだけ下げて、「今の私に必要なもの」を上げる。
その微調整ができるのって、たぶん、眠れてる時だけ。
そして夜。私はベッドに入る前にスマホを枕元から離して、充電器を部屋の反対側に挿しました。
たったそれだけ。成功するかわからない。たぶん途中で取りに行く夜もある。
でも少なくとも今夜は、“自分を薄める儀式”を一回休んでみたい。
もし途中で負けそうになったら、私は「画面じゃなくて布団を見ろ」って、自分に言うと思う。布団って、いちばん優しい広告みたいだから。押し売りしないのに、ちゃんと効く。
高い美容液より睡眠が効く、っていう言い方は、正直ちょっと乱暴だと思います。
美容液を否定したいわけじゃない。好きだし、気分が上がるし、それが必要な夜もある。
ただ今日の私は、そこに一個、別の真実を足したくなりました。
“整える”って、何かを足すことじゃなくて、足さない勇気かもしれない。
足さない。予定を足さない。情報を足さない。夜更かしを足さない。
足さない代わりに、眠る。
眠った分だけ、明日の自分の輪郭が少し濃くなる。
輪郭が濃くなると、返事がうまくなる。言葉が少し優しくなる。
優しくなると、必要以上に自分を責めなくなる。
そうやって、静かに生活が回り出す。
最後に、読者のあなたへ。
もし最近、何をしても満たされない感じがして、何かを買っても、予定を入れても、心が追いついてこないなら、
それって努力不足じゃなくて、睡眠不足のサインかもしれません。
(もちろん睡眠の悩みが続くなら、専門家に相談するのがいちばん安心、という逃げ道も残しておきます。私は、無理に根性で解決するタイプの話を信じてない。)
……って書きながら、私も自分に言ってます。
「今日はもう、寝よ」って言える人の方が、たぶん強い。
あなたは今夜、何を足さずに眠れそうですか。





