paters clubの年会費とデート料金に感じた違和感と安心の正体

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高級交際クラブpaters clubとは?審査制出会いサービスの仕組みと本音

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朝の空気がまだ冷たくて、コンビニのホットコーヒーを両手で包むように持っても、指先だけがいつまでも目を覚まさないままの金曜日だった。駅までの道で、濡れたアスファルトが街灯をぼんやり反射していて、昨夜の雨が「ちゃんと寝た?」って聞いてくるみたいで、私は「うん、まぁ…」と曖昧に返しながら歩いた。


通勤バッグの中には、読みかけの文庫と、期限が近いクーポンと、なんとなく捨てられないレシート。どれも今の私らしい軽さで、でも、軽いのにやたら場所を取る。

「paters club(ペイターズクラブ)」を知った朝、私の中で鳴った小さな警報

今日の小さな出来事は、いつも行く駅ナカのカフェで起きた。席が空いてなくて、仕方なくカウンターの端っこに座ったら、隣の席の男性二人組が、低い声で「クラブの方が早いんだよね」「コンシェルジュがやってくれるから」と話していた。イヤホンをつけていたのに、なぜかその単語だけが耳の隙間をすり抜けてきて、私の集中力を持っていった。


「paters club」。ペイターズの“クラブ”。そういえば、前にSNSで見かけたことがある。アプリの延長みたいな顔をして、実際は「高級交際クラブ」を名乗っているやつ。公式ページを開くと、コンシェルジュが選別した女性がいて、デートの申し込みを待っている、という文言が並んでいた。

私はいつもの癖で、コーヒーを一口飲む前にスマホで検索してしまった。調べるって、好奇心というより、自衛に近い。知らないものが怖いから、先に輪郭だけでも掴んでおきたい。


そうして出てきた情報の中で、いちばん先に目に入ったのが、男性側の年会費の金額だった。スタンダードで年会費50,000円、ゴールド70,000円、プラチナ100,000円、ブラック200,000円、ダイヤモンド300,000円。


それに加えて、女性とデートをするたびにセッティング料金がかかって、スタンダードクラスが20,000円、ゴールド40,000円、プラチナ60,000円、ブラック80,000円、ダイヤモンドはASK。


さらに「デート当日は交通費1万円を渡す」と明記されていて、値段がきれいに“ルール”として印刷されている。

…ここで、私の中に小さな警報が鳴った。
それは「怖い」とか「嫌だ」とか、そういう単純な反応じゃなくて、もっと地味で、もっとしつこい違和感。値段がある安心、というものに対する、うまく言えないざわつきだった。

「払える人」と「払えない私」の間に、見えない壁が立つとき

私は30歳で、一人暮らしで、家賃と光熱費と食費を払って、たまに友達とごはんに行って、たまに服を買って、たまに未来が怖くなる。
“たまに”って便利な言葉で、ちゃんとした顔をしているけど、実際は毎日少しずつ怖い。怖いけど、怖いって言うと全部が崩れそうで、だから「まあ、なんとかなるよね」で誤魔化している。

そんな私が、年会費30万円とか、セッティング8万円とか、交通費1万円とかを見ると、まず脳内で勝手に家計簿が立ち上がる。
「家賃の何ヶ月分?」「それって、旅行の一回分じゃない?」「私の“余裕”って、どこにあるの?」って。
お金の話は、恋愛の話よりも私を現実に引き戻す。すごく嫌な現実。しかも、丁寧にレシートを貼り付けたやつ。

でも同時に、私はこうも思ってしまった。
「それだけ払うってことは、ちゃんとした人なのかな」って。
お金を使える=誠実、という短絡。自分でも嫌になるくらい、分かりやすい誤解。それでも、その誤解が一瞬だけ私を安心させてしまうのが、さらに情けない。

たぶん私は、恋愛に“安全装置”を求めている。
年齢とか、収入とか、肩書きとか、そういうラベルを貼ると、相手が急に「危険じゃない人」に見える錯覚。
だけど、それって本当に安全なんだろうか。値札がついているから、丁寧に扱われる。値札が高いから、雑に捨てられない。そんなふうに思う自分がいて、そこに自分でも引く。

「わかる…」って、たぶん読んでるあなたも一回くらい思ったことがあるはず。
“ちゃんとした人”って何?って、誰かに聞くほどでもないのに、頭の中ではずっとその定義を探してるやつ。

「出会いが楽になる」ほど、心が雑になる気がした

公式の説明には、コンシェルジュが間に入って、日程調整や段取りをしてくれる、といった流れが載っていた。入会はオンライン面談→面談実施→入会後に即アテンド、という3STEP。


そして別のページでは、男性側は申し込み、オンラインや電話での面談、身分証明書・収入証明書の提出や誓約書の記入などがある、と書かれていた。


仕組みとしては、合理的だと思う。忙しい人ほど「やり取りが面倒」「時間がない」って言うし、手間をお金で買うのは今の時代の普通でもある。

でも私は、合理的な仕組みを見れば見るほど、心がちょっとずつ雑になる感覚があった。
出会いを効率化するって、言い換えると「人を選ぶ作業を省略する」ことでもある。もちろん、現実の恋愛も最初は選別で、相性で、タイミングで、結局は“選ぶ”。それは分かってる。


それでも、年会費のプランに「ダイヤモンド」とか「ブラック」とかが並び、女性側に「クラス」があり、デートにはセッティング料金があり、交通費のルールがあり…と、言葉がきれいに整列しているのを見ると、恋愛の中の“ぐちゃぐちゃ”が、どこかに追いやられてしまう気がした。

恋愛のぐちゃぐちゃって、たとえば「会いたいけど会いたくない」「嬉しいのに疑ってしまう」「好きって言いたいけど言うのが怖い」みたいな、あの不格好な揺れ。


私はそこに、自分の心が生きてる証拠を感じるタイプだから、揺れが最初から“仕様”として削られている世界は、少し息苦しい。

カフェの隣の二人は、きっと悪い人じゃない。むしろ、時間もお金もある大人の男性で、「お互い合意で、ルール通りに、スマートに」っていう感覚なのかもしれない。


ただ、私はその“スマートさ”に、置いていかれる気がした。私の生活はスマートじゃない。洗濯物はたまに畳まれないし、冷蔵庫には賞味期限の怪しい豆腐がいるし、口座残高でテンションが左右される。


そんな私が、きれいに整った出会いの仕組みを見て、「いいな」と思う前に、「私、そこに入れないな」と思ってしまった。

値札のついた安心を見たあと、私がした小さな行動

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その日、仕事の帰り道に、私はいつもより遠回りしてスーパーに寄った。
別に用事があったわけじゃない。家にまっすぐ帰ると、またスマホで検索して、値段を眺めて、勝手に自分の価値を計算して、勝手に落ち込む未来が見えたから。


スーパーの明るい照明は、いつも私を少しだけ現実に戻してくれる。恋愛のことを考える脳を、いったん“夕飯の献立”に引き戻してくれる。

そこで私は、普段は買わないちょっと高い卵をカゴに入れた。
高級交際クラブの年会費に比べたら、たった数百円の差。でも、その数百円を“自分のために”払うのが、今日は妙に大事に思えた。


「誰かに選ばれるため」じゃなくて、「自分が自分を雑に扱わないため」。
値札のついた安心が世の中にあるなら、私はまず、自分の生活の中に、私だけの小さな安心を作っておきたい。そんなふうに思った。

本音を言うと、私は少しだけ悔しかった。
恋愛の市場に、こんなに分かりやすく価格がついていることが。
そして、その価格を見て「安心しそう」と思った自分が。


私だって、誰かと出会いたい。だけど、出会いが“購入”に見えた瞬間、心が反射的に引いてしまう。
この矛盾を、私は今日、誰にも言えなかった。言ったら「考えすぎ」って笑われそうで、笑われたら自分でも笑ってしまいそうで、それが嫌だった。

調べていく中で、paters clubは法令に基づいて「インターネット異性紹介事業」の届出を東京都公安委員会に行い受理されている、という記載も見つけた。


制度として整えられている部分があるのは、きっと安心材料なんだと思う。
でも、制度が整っていることと、心が納得することは、別物だった。私はそこを混同しがちで、混同すると後から自分が疲れる。

今日のささやかな変化は、たぶんここにある。
私は「安心」を外側から買う前に、内側で育てる練習をしたいと思った。


その練習は、卵をちょっといいものにする、みたいな些細なことからでいい。
恋愛の場で自分を守るためにも、生活の場で自分を雑にしない。そんな地味なルールを、今日だけは守ってみたかった。

夜、帰宅して卵かけご飯を食べた。黄身が濃くて、少しだけ贅沢で、「私の一日、これで回収できたかも」と思ってしまって、我ながら単純だなと笑った。


でもその笑いは、前より少しだけ柔らかかった気がする。値札のついた安心に心がざわついた日でも、私は私の生活をちゃんと続けていける。たぶん、それが一番の救いだ。

帰り際、カフェで聞こえた「クラブの方が早い」という言葉が、まだ耳の奥に残っていた。早さって、便利で、かっこよくて、でもときどき人の気持ちだけ置き去りにする。私はたぶん、遅い側の人間だ。返事は寝かせたいし、会う前に悩みたいし、悩んだことをなかったことにもできない。


それでも、遅い私なりの速度で、誰かとちゃんと向き合える日が来るのかな、と、湯気の立つお茶を見ながら思った。

…で、ここまで書いておいて、また問いが残る。
出会いの形がどんどん多様になるほど、私たちは「何で選ぶのか」を問われる。肩書き?価格?やさしさ?手間の少なさ?
あなたは、安心のために何を払って、何を払わないでいたい人ですか。


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